日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ Toys of this month

2013年3月

「イースターエッグVelikonoční vajíčko」

  • 1930年代
  • チェコ・モラビア地方/卵殻

 イースター(=復活祭)は、イエス・キリストが十字架上で亡くなって3日目によみがえったことを祝う宗教的に重要な行事。同時にすべての生命が生き返るスタートラインとして、西洋では春の代名詞ともなっています。春分の日を過ぎ、最初に満月を迎えた後にやってくる日曜日が復活祭当日にあたります。本年は、西方教会では3月31日(東方教会では5月5日)が「イースタ・サンデー」です。

 写真は、1920~30年代、チェコのモラビア地方で作られたイースターエッグです。チェコ語でイースターは「Velikonoce(ヴェリコノツェ)」。イースターエッグは「Velikonoční vajíčko」と呼ばれます。卵の上部に専用の錐で穴をあけ、注射針のような道具を使って中身を出した卵殻を“ろうけつ染め”の手法で彩色した美しい作品。明るい色調で花や木の葉、十字、波状線など伝統的な絵柄が染め抜かれています。愛と信仰、豊かさ、永遠の生命などへの思いが込められた模様の数々……。100年近くに作られたとは思えないほど色鮮やかで、華やかさの中に祈りが感じられる美しい造形です。

 チェコの農村部では、イースターの日、柳の枝のムチ「Pomláska」を持って、青年は乙女を、乙女は青年を打ち、打たれた乙女は打った青年に自分が彩色した卵を贈るという風習が伝わっています。男女が互いの生命力を喚起して、豊かな実りと生命の誕生を願ったものではないでしょうか。