今月のおもちゃ
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2009年10月
「きびがら姉さま」
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姉(あね)さまは、女性の髪形をまねて和紙などで作り、それに千代紙や古布などの着物を着せて人形を作り、少女たちが日常のままごと遊びなどに使った手づくりの人形です。江戸時代に江戸・京阪などの大都会で流行し、広く各家庭で女の子の遊び相手として親しまれました。その作り方の技法はやがて全国に伝えられ、各地の城下町を中心に特色ある姉さまが作られるようになりました。
通常は和紙を筆軸に巻き、これを押し縮めて皺を付けたものを利用して島田や桃割れ丸髷などの髪型を作り、顔を付けて頭を作り、それに着物を着せて遊ばれます。ところが田舎では皺をつけた和紙によく似たとうもろこしの実を包んでいる皮=包葉を利用して作られ、きびがら姉さまと呼ばれました。とうもろこしは文献によれば、1579年にポルトガル人が長崎または四国に伝えた外来植物です。当館は長野・静岡・鳥取・高知・熊本の各県で作られたものを所蔵していますが、かつては全国で作られたのではないでしょうか。
また、当館では、遠くはなれたチェコやハンガリー、メキシコなどのきびがら人形(とうもろこしの皮)も所蔵しています。
これらの資料は開催中の「人形遊びの世界」で展示中です。