「精霊の日(ディア・デ・ムエルトス)のカラベラ人形」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

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2009年11月

「精霊の日(ディア・デ・ムエルトス)のカラベラ人形」

  • 1980年代
  • メキシコ/土

 10月31日のハロウィンは、日本でも年々、賑やかに紹介されるようになりました。ハロウィンは、カトリックの「諸聖人の日(万聖節)」の前夜の行事で、ケルト人が行っていた収穫感謝祭がもとになっているといわれています。ケルトの人々にとって、10月31日は一年の終わり、つまり大晦日で、この日には死者の霊が家族を訪問し、精霊や魔女が町にあふれ出すと考えられていました。墓地に花を供え、町中に火を灯して、目に見えない霊たちを迎え、一年の感謝がささげられていました。

 この「諸聖人の日」がスペイン経由でメキシコに伝わり、「精霊の日」と呼ばれる独特の祭りが生まれたのでしょう。
 メキシコの「精霊の日」も、10月31日がイブで、11月1日が当日。10月も半ばになると、町々の至るところでご先祖さまを迎える準備が始まり、多くの祭壇が設けられます。祭壇には、マリーゴールドの花、ろうそく、パン、故人が好きだったものなどとともに、賑やかに彩色されたドクロやガイコツ(カラベラ)がところ狭しと並べられます。街の屋台では、魔物の仮面、吸血コウモリなどと一緒に、ドクロをかたどった砂糖菓子やガイコツの人形が売られて、子どもたちが買いに集まります。

 昔からメキシコでは、絵画や工芸の中に死の世界や死者をテーマにしたものが数多く見られます。その根底には、スペイン侵略に対する激しい怒りと深い悲しみが込められているといわれています。

 死者を象徴するはずのガイコツ人形は、歌い、踊り、働き、恋をし、結婚し、出産し、まるで「生」を謳歌しています。楽しげなガイコツの人形や玩具を見つめていると、悲しみをユーモアにまで昇華させる力をもつメキシコ文化の懐の深さが感じられます。

 画像は、「ガイコツのバランス遊び」で高さ12cmほど。4号館2階の常設コーナーに展示しています。