「エルツゲビルゲの天使のキャンドルスタンド」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2009年12月

「エルツゲビルゲの天使のキャンドルスタンド」

  • 1970年代
  • ドイツ・エルツゲビルゲ地方/木製

 ヨーロッパのキリスト教の国々では、11月末の日曜日からキャンドル(ロウソク)を四本立て、一週間ごとに一本ずつ火を点していき、クリスマスの準備に入ります。この期間を「アドヴェント(待降節)」と呼びます。

 ドイツをはじめとするヨーロッパでは、この季節、夕方4時あたりには日が落ちてしまい、太陽が弱まる時期です。その太陽を元気づけるために点されるものがキャンドルだと考えられています。ドイツのクリスマスマーケットでは、色とりどりの、さまざまな形をしたキャンドルが並び、日常にキャンドルが溶け込んでいます。キャンドルの火は、心を照らしだす精神的な燈にもなっているのです。

 写真の天使のキャンドルスタンドが製作された地域は、チェコと国境を接するエルツ山脈地方(ザクセン州)です。19世紀まで豊富な鉱物資源で栄えてきました。しかしこの地域は、冬は長い期間雪に閉ざされて厳しく、村人たちの生活はとても苦しいものでした。廃坑後、村人たちは、身のまわりの菩提樹やブナの木を利用し、ロクロを使用して、木製玩具を作るようになりました。エルツ山地の木工芸品にキャンドル立てやキャンドルを持った天使の人形が多いのは、鉱山労働は危険がつきものであるため、鉱山職人の一人一人に守護天使がついていたという伝承があったからです。

 細身で美しいこの天使は、現在開催中の特別展「世界のクリスマス物語」でご紹介しています。