日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2012年7月

「バルセロスの鶏と鳥笛」

  • 1980年代
  • ポルトガル・バルセロス/土

  バルセロスは、ポルトガル北部にある古い町で、民芸のメッカとして知られています。民族色豊かな舞踊や芸能が数多く伝承される土地柄、食器類や日常雑器類にも味わい深い民芸陶器がみられます。中でも素焼きに手彩色された人形や動物、鳥などの玩具は本当に魅力的です。たくさんの鶏や小鳥が集合した「鳥の巣笛」、親鶏がひよこたちを従えた様子も愛らしい「鶏の親子笛」などは、白地に赤、黄、青、桃、橙、緑などでカラフルに彩色され、明るく朗らかな雰囲気が漂います。こんなに賑やかな土笛からはどんな音が出るのか?と、わくわくしながら手にとって小さな吹き口から強く息を吹き込むと、ピィーーー!!と、思いの外、甲高い音色が響き渡るのに驚かされます。

 さて、バルセロスのシンボルとして有名なのが、「バルセロスの鶏(o galo de Barcelos)」。こんな伝説が知られています。・・・・昔々、ある男が巡礼の旅をしてバルセロスの宿に泊まりました。その夜、宿屋の主人は銀製の食器類が盗まれたと騒ぎ、彼は、みんなのいる宴席で旅人に疑いをかけました。旅人は身の潔白を主張しましたが、誰も信じません。そこで旅人は深く信仰する聖母に祈りながら言いました。私が無実なら、テーブルの上でこんがり焼けた鶏肉が三度、鳴くでしょう、と。鶏は、その言葉どおり、三度、鳴き声を響かせ、旅人は解放されました・・・・・・。
 

 この鶏にちなんで作られるのが、バルセロスの幸運の鶏です。黒、赤、白、黄、青、茶で愛らしく塗られた素焼き彩色の「幸運の鶏」は、この地方を旅する人たちの土産物としても古くから愛されています。
 これらの民芸は、現在開催中の夏の特別展「世界の鳥のおもちゃ」でご紹介しています。