「四世面竹岡本正太郎師の有職雛」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

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2009年3月

「四世面竹岡本正太郎師の有職雛」

  • 昭和30~40年代
  • 京都府京都市/頭は四世面竹岡本正太郎製

 1千年以上にわたって政治文化の中心地だった古都・京都は、古くから仏師や能面師が活躍した土地柄です。その技能を生かして江戸時代には雛人形や御所人形の一大生産地となり、人形作りを家業とする多くの家が輩出しました。しかし明治維新とその後の混乱により、その多くが姿を消しました。

 面竹家は、数少ない江戸時代から続く人形師の名門「面庄」家の分家です。四世面竹の岡本正太郎(1895~1980)師は昭和30年代から50年代にかけ京人形師として活躍。1953年には御所人形制作で無形文化財=人間国宝の指定を受けられ、四世面竹作の人形は京都国立博物館にも収蔵されています。この有職雛は、他の雛にはない、独特の気品と風格を醸し出していますが、とりわけ、細い面相筆で何度も何度も薄墨を塗り重ねて描かれた目や眉などの表情は、見る人の心を魅了するでしょう。

 当館にあるのが不思議と思える高級(高価)なこの有職雛は、昨春亡くなられた随筆家の岡部伊都子さん(1923~2008)が所蔵されていたものです。ご縁があって、1986年の春に当館に寄贈いただきました。現在開催中の特別展「雛遊びの世界」で展示しています。

岡部伊都子さんと旧蔵の有職雛