日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2015年4月

「ダルメシアン海岸地方の鳥笛」

  • 1970年代
  • クロアチア/木

 
明るい日差しの中に鳥たちの歌声が賑やかに響くこの季節、1号館では「世界の鳥の造形」展を開催中です。
「世界の鳥笛」のコーナーから、旧ユーゴスラビア時代に収集した木彫りの鳥笛をご紹介します。 全長11~12㎝ほど鳥笛を手のひらに抱いて、背中の指穴を指でしっかり塞いだり、半分開けたり、三分の一ほど開けたり、また全開したりしながら、尾羽から息を吹き込むと、小鳥がさえずるような音色を響かせます。春の森でこの鳥笛を吹くと、縄張りを侵されたかと小鳥たちは勘違いし、我負けじ!とさえずりを始めます。柔らかい木を削って作られたもので、サフラン色に全体を塗り、緑と朱色のペンで模様をつけた素朴で味わい深い玩具です。作られた場所は、“ダルメシアン”という犬の品種で有名なダルマティア地方。
現在、かつてのユーゴスラビアは存在せず、ダルマティア地方は、クロアチアという国の南部にあたります。1949年にチェコのプラハで出版された『Folk Toys』(EMANUEL HERCIK著/ARTIA刊)にも、ダルメシアン海岸付近で作られる郷土玩具として、この木の笛の絵が掲載されていて、造形的には様々なバリエーションがあったことがわかります。