「武者人形・神功皇后(じんぐうこうごう)と武内宿禰(たけうちのすくね)」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

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2005年5月

「武者人形・神功皇后(じんぐうこうごう)と武内宿禰(たけうちのすくね)」

  • 明治中期
  • 日本/練物・胡粉・木・布・金属

 和漢の勇者を人形に仕立て、通りに面した室内に飾りつける武者飾りが登場したのは江戸時代中頃のこと。太閤秀吉と加藤清正、義経と弁慶をはじめ、大将と従者の人形を組み合わせて飾る様式は、明治・大正時代まで都市部を中心に人気がありました。昭和時代に入って、甲冑飾りが人気を博するまで、武者人形は、室内飾りの主役を務めていたのです。

 この武者人形は、明治時代に京阪神間で飾られたもので、神功皇后と武内宿禰をあらわしています。高さ70㎝、飾り付けると80㎝をこえる大型の人形です。動的な姿態と玉眼に宿る生命感が独特の雰囲気をかもしています。

 神功皇后は大和朝廷初期に活躍した仲愛天皇の后、女性ながらに武者姿で出陣し、途中、応神天皇を出産します。武内は、皇后に仕え、さらに幼帝の応神を助けて偉功があった忠臣で、思慮深い老人の姿で表現されます。武内が大事そうに抱いているのは、産着に包まれた応神天皇です。『古事記』や『日本書紀』の中で、英雄的な支配者として語られる神功皇后とその事業をサポートする武内宿禰の組み合わせは、武運長久を象徴するものとして、明治・大正時代には特に人気がありました。