日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2019年9月

「三春張子・玉兎(たまうさぎ)」

  • 昭和30~40年代
  • 福島県郡山市/紙

日本各地の郷土玩具には、信仰や伝説、美意識や幸福感を表現した造形物が多く見られます。

月にできたクレーターの形に由来する「月に兎がすんでいる」という伝説は日本だけではありません。中国では、「不死の仙薬を王様から盗んで月の世界へと逃げた嫦娥(じょうが)という女性に仕えた兎たちが薬をついている」という「玉兎搗薬(ぎょくとどうやく)」伝説があり、この「玉兎(ぎょくと)」という言葉が日本にも伝わり、月そのものを表わす言葉として使われてきました。

福島県郡山市で作られる三春張子の「玉兎(たまうさぎ)」は、丸く伏せた兎の姿がモチーフになっており、300年以上にわたって作り続けられている人気の張り子です。赤い大きな耳をたてて、まん丸の顔に大きな黒い目がこちらをじっと見つめている様子がかわいらしく、丸い身体に描かれた花や吉祥を表わす抽象的な模様からは、三春張子の華やかな色彩も見てとれます。また、三春張子は、張り子の上に厚紙を重ねることでより立体感が生まれるように作られており、兎が持つ柔らかさと骨格の質感も感じられます。 三春張子の「玉兎」は4号館1階の季節の展示コーナーにてご紹介しています。