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学芸室から 2022.10.22

中国民衆玩具の世界展へのお客さま―時をこえて


七夕のころより賑やかに楽しんでいただいた「中国民衆玩具の世界展」が今週末の日曜日で会期終了を迎えます。本展を目指して、日本郷土玩具の会(東京/竹とんぼの会)や郷土玩具文化研究会(大阪)の玩具愛好者の皆さまも次々にお訪ね下さり、特に展示解説会のある日曜日には、中国民間玩具の蒐集家をはじめ、中国伝統の切り絵「剪紙」の技を持っておられる方々、中国の古い布を蒐集しておられる方々、また中国民族楽器の演奏家、そして中国ご出身の方々…と、中国文化に造詣の深い皆さまをお迎えして、四方八方に拡がりのある季節を過ごさせていただきました。―――同じ空間に集うというのは、やはり、他のどんな手段をもってしても代えがたい喜びがありますね!
展示オープンと同時に『中国民衆玩具ー日本玩具博物館コレクション』が刊行され、本書を手に取られた方々が実物を見たくて!と関東や東北、また四国や九州からもご来館下さったことは、出版物のもつ力を感じるよい体験となりました。

10月はじめには、親しくお付き合いさせていただいている天理大学附属天理参考館から学芸員N氏の訪問を受けました。天理参考館は、旧岸本五兵衛コレクションをはじめ、素晴らしい中国民間玩具の数々をご所蔵なのですが、今回のN氏ご来館の趣旨は、当館が所蔵する浙江省寧波市寧海県の「白木小件(白木のままの安価で小さな彫刻)」を調査されること。―――1930年代から1960年代まで、外国人からのまなざしを受けて発展した「白木小件」は、高さ5~7㎝。当時の江南地方の風俗をよく映す海外土産で、クローズアップするとどれもこれもよい表情です。その成り立ちや何人かの作者について、わかることもいくつかあるのですが、これらが誕生し、発展し、受け継がれてきた全体の流れを追うことはまだまだ難しく・・・。N氏の玩具への温かで緻密な観察眼に心を打たれた一日、――N氏を中心に、ご所蔵館の皆さまと一緒に、これらの歴史を少しずつでも明らかにできればと思います。


また10月は、中国民間玩具の研究者で、井上館長、尾崎ともども親しくご指導いただいた李寸松老師(1927-2011)にご縁のある方々を次々にお迎えし、老師の思い出話に花が咲きました。李老師が当館を初めて訪問下さったのは1994年4月のこと。そして、2度目は1996年11月10日です。中国民間玩具展の開催に合わせて、講演会にお越しいただき、当時の老師のご研究テーマであった中国の十二支造形「中国十二生肖」についてお話をいただいたのでした。講演の席には、中国民間玩具研究者で、当館へ1,000に及ぶ品々を寄贈して下さった伊藤三朗先生(1932-2021)の姿もありました。


古い話で恐縮ですが、当館への初訪問の折、李寸松老師と井上重義館長の対談(尾崎の司会)の席をもうけ、その内容を館報「おもちゃと遊びNo.13(1994年6月16日刊)に掲載しておりました。ご要望により、そのページをこちらに転載いたします。民衆が育てた美術造形をこよなく愛しておられた李寸松老師のお人柄、また中国民間玩具の成り立ちについて、ご理解いただけるのではないかと思います。文字が小さくて恐縮です。お手元で画像拡大してご覧いただければ幸いです。

館報「おもちゃと遊びNo.13」対談ページその1
館報「おもちゃと遊びNo.13」対談ページその2

(学芸員・尾崎織女)




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