日本玩具博物館の待降節2024 | 日本玩具博物館

日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

Language

ブログ

blog
学芸室から 2024.12.11

日本玩具博物館の待降節2024

クリスマス展の解説会
今冬も世界のクリスマス展が好評です。“うわぁ~、クリスマス~!!”と感嘆の声をあげながら、6号館へ入って来られる方々、“サンタさんだぁ!”と展示ケースに駆け寄る子どもたち。展示会場に居ると、そんな来館者の声が嬉しい12月です。今冬も恒例により、日曜日ごとに展示解説会を開いています。展示ケースの中から各地のクリスマス飾りを取り出し、それぞれにまつわる地域独特の習俗をお話することで、クリスマスの意味を探っていくものですが、毎回、20~25名ほどの方々が参加して下さっています。子どもたち、若いご夫婦、ご高齢の方々・・・、たまたま集ってこられた方々とともに同じキャンドルの灯を囲むひとときは、私にとっても、この季節になくてはならない大切な時間になっています。


また平日には、こども園の園外学習で来館される小さな子どもたちに、クリスマス展会場でキリスト降誕人形や各地の贈り物配達人を題材にした人形たちについてお話をします。天使と鬼を連れてやってくるドイツやオーストリアの聖ニコラウス、チェコやスロバキアの聖ミクラーシュについて話すと、「ねぇ、おさきさん、鬼はどこにおるの? ぼくたちのところにも鬼がくる? こわい・・・」と心から鬼の存在を畏れて、展示品をじっーーっと見つめる綺麗なまなざしに心が洗われるようです。――「大丈夫だよ、この鬼たちはむかーし、むかしの神さま。本当は優しくて、子どもたちが良く生きられるようにと考えてくれているんだよ。それに日本のサンタさんは鬼を連れてこないでしょ?!」と話すと、安心した笑顔で「うん、よかったなぁ」と、ほんとうにかわいらしい。


クリスマス・オーナメントづくり

また、展示中のクリスマス・オーナメントのなかからひとつテーマを決めて、毎年、ワークショップを開催しています。切り紙細工や木の実細工、きびがら細工、麦わら細工など、身近にある自然素材を用いて手作りしてみることで、世界各地に伝承されるクリスマス・オーナメントの意味を学んでいくワークショップです。今年は、麦秋のころに、お隣り町に暮らす友人からよい小麦を頂戴できたので、スイスやスウェーデンの“麦穂の天使”を取り上げました。毎年、楽しみにご参加下さる方があり、それもありがたいことですが、初めて参加されて「誰かと一緒に物づくりをする楽しみを味わえた」と会場を後にされる方々の笑顔も嬉しいものです。


「麦穂の天使」の作り方

今回、ワークショップで取り上げた「麦穂の天使」について、作り方を知りたいとのご要望も多いため、こちらでご案内させていただきます。

準備するもの・・・・・・・・・・・麦穂が付いた麦わら12本ほど(一昼夜、水に浸しておく)、木綿糸、リボン(細いもの)、はさみ、長めの縫い針

作り方 
<麦わらを切り分ける>
① 麦わら12本ほどを手にとり、麦の穂先から15cmほどの長さにそろえる。15cm程度の麦の穂つきの麦わらは胴部用、残りの麦わら は翼や腕に用いる。
<胴部をつくる>
② 15cmほどに切りそろえた麦わらの、根元から1.0cmぐらいのところを図のようにしっかり結ぶ。
③ 結び目を基点にし、結び目を隠すように、1本ずつ麦の穂を折り返す。
④ 1.5cmほどの位置を木綿糸で結びとめて、頭部を作る。

<翼をつくる>  
⑤ 麦わらを13cmほどに切りそろえ、真ん中に縫い針を立てて、図のように結びとめる。このとき、天使の翼が蝶の翅(はね)のように広がるよう、できるだけきつくしばる。

<組み立てる> 
⑥ 背中に翼をさし入れ、また 胸部には腕となる一本の麦わらをさし入れる。
⑦ 腰を木綿糸でしっかりまとめて結ぶ。腕は前でまとめて結んでおく。


<完成>
⑦ 翼を切りそろえて形をととのえる。
⑧ 腰にリボンを蝶結びにして飾る。
⑨ 頭部に木綿糸をとおし、つるし飾りとする。

麦わらが入手できるようでしたら、ぜひ、お作りになってみてください。麦わらが乾くと、つやつやと輝きます。手作りのオーナメントで心楽しいクリスマス・アドベントをお過ごしくださいませ。

(学芸員・尾崎 織女)

バックナンバー

年度別のブログ一覧をご覧いただけます。