今月のおもちゃ
Toys of this month
2009年8月
「かくれ屏風」
夏休みにはいり、当館恒例の夏休みおもしろおもちゃ教室が始りました。作るものはその年の企画展や特別展と関連するものを作っているのですが、毎年変わらず作っているのが「かくれ屏風」です。30分もあれば簡単に作れ、その仕掛けの面白さが子供たちの心を捉え、人気があるからです。大きさは子供の手のひらに乗るほどですが、5枚続きの屏風の絵が、折りたたんで「無くなれ」と呪いをして開けると、不思議なことに絵が消え、再び折りたたんで「出て来い」と呪いをして開けると絵が現れます。子供たちだけでなく大人にも人気があり、当館自慢の講座です。
この不思議なおもちゃは江戸時代からの古い歴史を持ち、享保12年(1727)刊の『目付絵』には「だん十郎のからくりびょうぶ」、嘉永6年(1853)刊の『守貞漫稿』には「京阪は黒厚紙五片を白紙を以て両端と央と交互に挟めり江戸制は杉板六片を繋げり」とあり、図も掲載されています。板面に歌舞伎役者の家紋等が描かれていたので、「団十郎のからくり屏風」とも呼ばれました。地方によっては「ペタクタ」「隠れ屏風」「カッタリカッタリ」と呼ばれたようです。
この玩具は現在も新潟県水原では郷土玩具として作られており、厚紙製のものは昭和30年ごろまで駄菓子屋で売られ、縁日などでも特製の物が売られていました。水原のものは現在開催中の企画展「神戸人形と世界のからくり玩具」で展示しています。