日本玩具博物館のミュージアムフレンド“ヒラ・シュッツェさん”のこと | 日本玩具博物館

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学芸室から 2005.06.27

日本玩具博物館のミュージアムフレンド“ヒラ・シュッツェさん”のこと

本年度は「日本におけるドイツ年」にからめて、当館では、特別展「ドイツおもちゃ紀行」を催しています。黒のクロスを敷き詰めた展示ケースの中で、ドイツ各地のカラフルな玩具は輝いているようです。

「人形とままごと」の展示コーナー

日本玩具博物館の「世界の玩具コレクション」を国別に見渡すとき、最も大きなボリュームを形成しているのがドイツの木製玩具群です。ドイツは美しく堅牢な玩具の生産地として、近世以前からヨーロッパ全域に知られ、エルツゲビルゲ地方の「ノアの方舟」などは、1800年代初頭には新大陸・アメリカの子ども達にも人気のある玩具となっていました。ドイツの人々は、歴史の中で、また現在の生活の中でも、自国が生産する玩具に対して愛着と誇りを持っています。ニュールンベルグ玩具博物館、ゾンネベルグの国立玩具博物館、エルツゲビルゲ玩具博物館、ミュンヘン玩具博物館、ローテンブルグ玩具博物館をはじめ、ドイツ各地に点在する玩具博物館の多さや位置づけの高さがそれを物語っています。当館は、こうしたドイツ各地の玩具博物館との交流を続けています。

エルツゲビルゲ地方のノアの方舟

一方、ドイツ玩具の収集家や研究者との情報や資料交換なども積極的に行い、ドイツの玩具史について、また子ども観や物作りの精神、生活の中の美意識などについても少しずつ理解を深めてきました。

中でも、バードキッシンゲン(Bad Kissingen)在住のヒラ・シュッツ(Hilla Schutze)さんとは、1994年以来、10年以上の親交があります。シュッツさんは、ドイツをはじめ世界中の人形や玩具を収集して、在野で玩具史研究を行い、また博物館や市庁舎のギャラリーでコレクション展示を催したりもしておられる方です。1993年、当館がスイスのチューリッヒ玩具博物館で「日本の郷土玩具展」を開催した折、彼女は、初めて数多くの日本の郷土玩具に触れられたそうで、日本が伝える繊細な郷土玩具の色と形に感動したとお便りをいただきました。

1994年冬、当館からは資料をつけて30点ほどの東北の郷土玩具を送り、それと交換に、ゾンネベルグを中心とするチューリンゲン地方の郷土玩具が届けられました。1995年春、阪神淡路大震災で行き場を失った雛人形の引き取り活動の中で、被災地から当館に送られた雛人形の一組をシュッツさんに再寄贈すれば、その記事が現地の新聞に掲載されたりしたこともありました。毎年、お正月にはその年の干支玩具をプレゼントすることが習慣になっています。彼女からは、4月、復活祭(イースター)に飾られるオーナメントなどが届けられます。

こうして、シュッツさんとの資料交換は年に2~3回程度。今回、「ドイツおもちゃ紀行」の展示作業をしていく中で、シュッツさんから贈られた玩具や写真資料の素晴らしさを感じ、また10年に渡る私たちのやり取りを思い起こし、この交流の意味についてもあらためて感慨深く振り返っています。

(学芸員・尾崎織女)


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