日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2018.12.05

日本博物館協会創設90周年の特別表彰を受けました

師走になりましたが、このところ暖かな日が続きます。当館の庭には今も紅葉がのこり、早咲きの椿が咲き始めて独特の雰囲気を醸し出し、来館者から素敵な庭ですねと再三嬉しいお言葉を賜ります。手入れの行き届かない庭ですが、それが自然あふれる庭として喜ばれているようです。

さて先月28日。東京の上野駅前にある東京文化会館ホールで日本博物館協会第66回全国大会が開催されました。大会では博物館の全国組織が創設されてから今回で90年目に当たることから、それを記念して、永年にわたり博物館振興に多大な功績をあげられた個人と団体に対して、その功績をたたえて特別表彰が行われました。
候補者は各県毎に推薦され、選考委員会で検討されて、全国で個人4名と2団体が顕彰されましたが、その4名の中に私が選ばれたのです。過般、兵庫県博物館協会から私を推薦すると連絡がありましたが、私自身、選ばれるとは夢にも思いませんでした。それに大勢が選ばれると思っていたのが全国で4名と知り、大きな評価をいただいたことに、涙が止まりませんでした。
表彰者は私のほかに、田邉三郎助(日本美術史研究家、武蔵野美術大学名誉教授、町田市立博物館長)、嶋崎丞(陶磁研究家、石川県立美術館長)、岩槻邦男(植物学者、東京大学名誉教授、兵庫県立人と自然の博物館長)と著名な3人の先生方でした。
私は開館以来、現在まで独立採算で運営してきたこと、特色あるコレクションの構築、ちりめん細工の再興活動、ミシュラン・グリーンガイド二つ星に認定されたことなどが評価の要因と思われますが、正直、このような大きな表彰をいただけるとは夢にも思いませんでした。


私は学校で博物館学を学んだわけではなく、1974年の開館後、博物館に関する文献を読み、独学で博物館のあるべき姿を追い求めてきました。幸いなことに開館2年後に兵庫県庁で文化関係を担当されていた朽木史郎さんのお勧めで博物館協会に入会、同会の機関誌『博物館研究』を読み、博物館のあるべき姿を勉強してきました。そして博物館の使命について考え、当館は「評価されずに消えようとする子どもや女性に関わる文化遺産を収集し後世に遺すことにある」と考え、成功例の後追いでなく、当館でないと見ることができない個性的なコレクション群の構築に全力投球で取り組んで来ました。さらに当館には多数の著名な収集家から貴重な資料の寄贈を受け入れたことも、当館の価値を大きく高めることに繋がりました。
当館のコレクションを散逸させないで後世に遺すためにはどうすべきか。大きな課題ですが、有識者の皆さまにお集まりいただき、一般財団法人化の検討会を年度内に開催することになりました。

(館長・井上重義)

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