陽ざしの暖かな節分の日に | 日本玩具博物館

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学芸室から 2021.02.02

陽ざしの暖かな節分の日に

いつもの年より一日早い節分。朝、焼き鰯を食べて頭をとり、節分の魔よけ「柊鰯/やいかがし」を作って、ランプの家の入り口につけました。播磨地方では明るい陽ざしがさして、明日の立春を待たず、鰯の頭にも暖かな春がやってきたような一日。緊急事態宣言下とあって来館者は少ないのですが、寄り添うように観覧される年配のご夫婦の姿がほほえましく、赤鬼のお面をつけてプレイコーナーで遊ぶかわいい姉弟の姿がとても愛らしい―――穏やかな節分です。


紙モノ玩具の収蔵缶のなか、探し物をしておりましたら、昭和35年収集の「吉田神社の節分面」に目が留まりました。吉田神社の追儺式は、京都を代表する節分行事。鬼たちを方相氏が追い払う所作が演じられ、毎年、多くの参拝者で賑わいますが、今年は中止されたと伺っています。金色の目が四つ、神通力をもつ中国渡来の方相氏は、かつては矛と盾で地面を打ち鳴らし、大音声で宮中の厄除けを行ったと伝わります。追儺式の鬼面や方相氏面を真似て、昭和中期に授与されたと想われる素朴な紙面。―――今日は、館長がそっと方相氏の紙面をつけて、館内の厄払いを行いました。

そのあと、中庭の石畳の道に茂った甘夏の枝々がたわむほどについた実を館長とスタッフで収穫しました。今冬は柚子や檸檬なども豊作と伺っていますが、当館の甘夏も、これほどの実がついたことはなく、驚いています。収穫したたくさんの実は、箱のなかで追熟させて美味しくなったら、皆でいただきましょう!――――その前に鳥たちにお福分け。(←鳥の撮影が筆者の趣味なので…。)

6号館の特別展「雛まつり」も始まり、庭の蠟梅や万作も満開です。感染症拡大防止対策をとってお待ちしておりますので、暖かな日を選び、春らしくなった当館へどうぞゆっくりとご来館くださいませ。

(学芸員・尾崎 織女)

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