日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2023.03.19

春のおもちゃ館~休館日の活動

中庭の樹々が次々に花を咲かせ、花の蜜を吸うメジロやヒヨドリたちの楽園のようです。明るい日差しのなかで庭を散策したあと、雛まつり展会場で古雛たちの表情を楽しく観覧される来館者の風情もあたたかな3月です。

新春のブログ「学芸室から」でも報告しましたように、毎週水曜の休館日には、当館所蔵資料のデジタルアーカイブづくりのため、常設室4号館1階の郷土玩具の産地別撮影作業を行ってきました。2月いっぱいでその撮影が終わり、「北海道から沖縄県までの旅が終わってみたいで淋しい気もするね」「来年度は4号館2階へ上がって、アジアからアフリカ、アメリカ、ヨーロッパへ、玩具をめぐる旅へ出かけましょう!」と、カメラマン氏と担当スタッフと楽しく話し合ったことでした。

さらに3月の休館日は、からくりが面白い郷土玩具(手動)、ゼンマイ仕掛けやフリクション式、電動によって楽しい表情を見せてくれる近代玩具などを選んで、カメラマンのN女史に動画を撮影してもらいました。広く公開できる運びとなりましたら、またこちらでご案内させていただきます。


日本の郷土凧展の準備を

さらにさらに3月の休館日、——NPO法人おおやアート村BIG LABO(兵庫県養父市大屋町)で開催される空をテーマにした公募展「そらテン」(作品募集中です!)の企画として、日本のふるさとの空を彩ってきた郷土凧の展示に出品協力することになったため、常設展示室の天袋に大掛かりに収蔵している凧の大型梱包ケースを運び出し、北から南へとどんどん広げて出品準備を・・・・。今回は、凧の造形と地域性に着目して、個性豊かな郷土凧、大小合わせて100点あまりをご紹介する予定です。

当館にとっても久しぶりの「日本の郷土凧展」―――BIG LABOでの展示作業にも加わり、公募作品に華を添えるアーティスティックな空間を作らせていただきたいと思っています。「そらテン」は来たる4月21日から8月31日まで。展示準備が整いましたら詳しくご案内させていただきます。


メキシコ・オアハカの木彫動物たちを取り出す

それから先日の休館日には、ご要望にお応えして、収蔵庫の奥深くに収蔵している「メキシコ民芸玩具コレクション」のなかから、オアハカ州の木彫りの動物たちを取り出す作業を行いました。これらは明るい彩色と生命感に満ちた大らかな造形が魅力的で、愛好者も多いようです。
これらは1950年代終わりのころにアラソラ村のマヌエル・ヒメネスが作った動物たちが始まりとされています。やがて周辺の村々にも木彫製作が広まり、————。当館は、主に、ラ・ウニオン・テハラパン村の1980年代製の作品を所蔵しており、この春はオアハカの木彫動物をテーマとした書籍づくりにご協力する予定です。

メキシコ・オアハカの木彫彩色の動物たち

オアハカの木彫造形を含む「メキシコの民芸玩具」は、当館の世界玩具コレクションのなかでも、大きなボリュームをもっています。20年ぶりのことになりますが、今夏秋は「メキシコと中南米の民芸玩具展」として特別展を開催予定(2023年7月8日~10月22日)です。メキシコ、グアテマラ、ペルー、ブラジルをはじめ、長く眠らせていた玩具たちを起こして、芸術性豊かなラテンアメリカの展示風景を作りたいと思っています。どうぞご期待くださいませ。

(学芸員・尾崎織女)

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