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学芸室から 2024.03.24

中学1年生S君の神戸人形

去る3月17日(日)には、6号館の特別展「雛まつりとままごと遊び」展示解説会を開いたのですが、この日に合わせて、大阪在住の神戸人形大好き!中学1年生のS君がご両親とともに、自作の神戸人形をもって当館を訪ねてくださいました。

彼は、先月、54歳の若さで逝去された神戸人形の作者・吉田太郎さんと親しい交流がありました。突然の訃報に接し、哀悼の気持ちを「木琴弾き・ろくろ首のお化け」に込めて、一気呵成に作り上げられたと伺いました。中学1年生にして、段ボールでここまでの仕掛けを再現されるなんて、凄すぎます! 木工の技術を学び、太郎さんのご指導を得ながら、神戸人形を作りたいと願っていた彼にとって、また太郎さんのお人柄を慕っていた彼にとって、太郎さんの急逝がどんな悲しいものだったか、この作品を動かしていると彼の思いが胸に迫ります。―――S君は、神戸人形に出合ってまだ数年しか経っていないというのに、当館のコレクションをはじめ、ネット上に公開されている作品すべてに目を通し、細部を観察し、❝博士クン❞のように、歴代の作家についても、その作品の特徴についても、もの凄く詳しいのです。太郎さんの存在が、子どもたち、若い世代に強い影響をもたらしたことを本当に素晴らしいと思います。彼とご家族にお許しをいただきましたので、紹介させていただきます。

太郎さんは、夢中になって神戸人形に向き合っているS君に接し、「少年時代の自分のようだ」と奥さまの綾さんにおっしゃっていたそうです。太郎さんの想いがこうして若い人たちのもとにしっかりと届いていることが嬉しく、希望が未来を明るく照らしてくれます。皆で見守っていけたら…と。また、二人三脚で「ウズモリ屋」を支えてこられた奥さまの綾さんは、神戸のまちに神戸人形を根付かせたいという太郎さんのご遺志をつぎ、できるところまで製作を続けたいと話しておられますので、私たちも皆で応援していけたらと思います。

(学芸員・尾崎織女)

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