臨時休館中の展示室にて | 日本玩具博物館

日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

Language

ブログ

blog
学芸室から 2024.07.05

臨時休館中の展示室にて

夏秋の特別展「世界のままごと道具~小さな世界のキッチン探訪」を好評開催中ですが、7月1日~19日まで、平日のみ臨時休館とさせていただいています(土日祝日は通常通り開館)。


ところで先日、ご高齢のご婦人がご家族と本展をご覧になり、このような感想を伝えてくださいました。「世界中にままごと遊びがあり、そのためのかわいらしいお道具が作られていることに胸を打たれました。その上で日本のままごと道具の移り変わりをたどっていると、ああ、私はこの日本という国のこの時代に生きてきたんだなぁ…と実感し、自分の位置を確認できたようで、それで、私は本当に幸せだなぁと感じました」と。


なんと素晴らしいご感想でしょう。そのご婦人は、ままごと道具の展示を通して、世界に広がる空間と移り変わっていく時間、その交わりの一点に自身が存在しているのだと感じ、さらに展示品のなかにアイデンティティにつながる何かを見つけられたのだと私は思いました。――玩具世界の時空を超える普遍性とそれぞれの民族性、時代性を通して、自身が属する文化を見つめなおしていただけるように、さらに文化の多様性を貴ぶ心に気づいていただけるように、――これは当館の展示活動が求めてきた価値のひとつだとあらためて知らされ、この展示をもてたことをとても嬉しく思った次第です。


臨時休館中、当館では、館内内部の整える作業、展示ケース内照明をLEDに替えたあとの照度調整作業、それから所蔵品の所蔵品のデジタル・アーカイブ作成にも取り組んでいます。来館された先のご婦人のご感想に触発され、展示中のままごと道具すべてをデジタル・アーカイブとしてまとめたいと思いました。他にも様々なコレクション群を有していますので、少しずつでも進めていけたらと担当スタッフが中心となって計画しています。
まずは2日間の強行日程で、写真家の島内治彦さんにままごと道具をひと組ずつの撮影していただきました。小さな道具ひとつひとつの質感や造形のもつ力を伝えるよい写真がたくさん!!
―――休館中の展示室、撮影の様子を画像でご紹介させていただきます。


「ままごと道具コレクション」を含め、今夏より、デジタルコレクションの中身を少しずつですが、公開してまいりますので、どうぞお楽しみになさってください。7月19日までは休館日が増えてご迷惑をおかけいたしますが、お許しいただき、私どもの取り組みを温かく見守っていただければありがたいです。

(学芸員・尾崎織女)

バックナンバー

年度別のブログ一覧をご覧いただけます。