日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2014.07.11

「世界の国の人形展」会場から

ブルキナファソのミロゴ夫妻から届いた写真

今朝、ブルキナファソの地方都市に暮らすベノワ&美由紀=ミロゴさんご夫妻から、ブルキナファソのかわいい子どもたちの写真が届きました。
ご夫妻は、2012年秋「世界の太鼓と打楽器」展を開催した折に、ランプの家でジャンベやバラフォンなど、西アフリカに伝わる民族楽器の演奏を披露して下さったのを始まりとして、今も親しくお付き合いが続いています。(※<ブログ「学芸室から」2012年10月24日>でご紹介しています。)

今、開催中の「世界の国の人形」展にブルキナファソの子どもたちの姿を掲示したいのでお写真をお送り下さるようメールでお願いしていたのです。ご夫妻に撮影していただいたブルキナの子どもたちの笑顔のかわいいことといったら! 彼らの瞳はどうしてこんなにもキラキラ輝いているのでしょう! さっそく、小さなパネルに仕立てて、西アフリカの人形たちの傍に掲示させてもらいました。小さな赤ちゃんをおんぶして両親の手伝いをしたり、遊んだりする子どもたちの姿がそのまま人形の中に表現されていることがわかり、人形への思い入れも増すように思われます。

素敵なお写真をお贈り下さったミロゴさんご夫妻、私たちの館でかわいい姿を見せてくれた子どもたちに、展示室から感謝の気持ちを送ります。


ブラジルの郷土人形

さて、「世界の国の人形」展の中から、ご紹介したい人形があります。

それは、ブラジル・トカンティンス州に居住するカラジャ族 の人形“リココ(Licocó)”です。下腹部がふっくら盛り上がって妊娠している女性を表しているようです。悪霊が入り込むことを怖れるためか、この土偶には目鼻が描かれていません。身長12~3cmほど の小さなものですが、“大地母神”と呼んでもいいプリミティブな造形です。

カラジャ族の女の子は、女性しか作ることを許されていないというこの人形を“ままごと”の友として、古布を着せ掛けて遊ぶのです。初めて見たときには本当に驚きました。信仰の領域にあるものが、人間の歴史のある過程で、子どもの世界へと手渡されていく、その瞬間に立ち合ったように感じたからです。私たちの人形や玩具、その遠い先祖の姿は、信仰のための人形だった――そのことを確信させるものだったからです。

ブラジルには、カラジャをはじめ、ボロロ、タピラぺ、メイナク、グアラニ、クイクロ、ワイワイなど、80を越える先住民が居住しています。それらの造形に接する機会を得たのは、1995年、日伯修交百周年記念事業の一環として、ブラジルの企業メセナともいえる団体「SESC」からの依頼を受け、大掛かりな日本の伝統玩具展を彼の地で開催したときのことでした。

1995年、日伯修交百周年記念事業の一環でブラジルへもっていった「日本の伝統玩具展」のポスター

半年間をかけて、サンパウロ~クリチーバ(パラナ州)~リオデジャネイロの三都市を巡回させるという、日本玩具博物館にとって一生一代の大仕事。展示作業や撤収作業、またワークショップ開催のため、井上館長とかわるがわる各町に滞在したのですが、展覧会設営のスケジュールを縫って日曜市や民芸店、玩具店に出かけ、ブラジル各地の民芸を収集したりもしました。

合計4回の渡伯を通して、400点に及ぶブラジルの伝承玩具を持ち帰りました。今、サッカー・ワールドカップの開催地としてテレビに映し出されるブラジルの町々の姿がとても懐かしいです。振り返れば、“人生の糧”といえるものをたくさんいただいたブラジルの展覧会でした。

ペルナンブコ州カルアル地方のミニチュア風俗人形
バイヤ州の土人形・カンドンブレの儀式

そのような経緯で、日本玩具博物館が“知られざる民芸王国・ブラジル”からその時に収集してきた人形たちも「世界の国の人形」展の中で少しご紹介していますので、お目を留めてご覧下さいませ。(尾崎織女)

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