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学芸室から 2014.08.02

<体験レポート>「おかんじゃけ」のワークショップ

静岡の郷土玩具「おかんじゃけ」をご存知でしょうか?
「おかんじゃけ」は、若竹の一節を槌で叩き、竹の繊維を細かく裂いて、仏具の払子のような形につくったものを言います。今も、静岡市羽鳥町の洞慶院の開山忌(7月19日・20日)には、村の伝承者数人が若竹を叩いてこしらえた「おかんじゃけ」が、夏病みの厄除けとして授与されています。

おかんじゃけ(昭和20~30年代)

その昔、このおかんじゃけを男の子なら戦ごっこの采配に、女の子なら髪結い遊びに使いました。おかんじゃけの結髪を伝承する古老はすでに亡くなり、その姿は古い郷土玩具の中に姿を探すのみとなっています。

この度、大阪の人形作家の亘正幸さんが、静岡からおかんじゃけ作りの名人・松本健作さんを招いて、能勢町の書家や染色家とともに、ワークショップを企画されました。「静岡の郷土玩具紹介でもありますが、書家たちのパフォーマンスも期待できます。おもしろくなると思うので、ぜひ!」とお誘いくださったので、今日は、取材をかねて能勢町のアトリエまでお邪魔しました。

参加者は、講師の松本さんを囲んで、若竹を切り、金槌で竹を叩き、叩き、また叩き、梳るように竹の繊維を整え、ふうふういいながら、汗だらだらで「おかんじゃけ」を作らせていただきました。竹を叩いて繊維を細かく裂いていくのは、本当に難しい。何年もの修練の要る手仕事であることがよーーーく身にしみました。
松本さんは、小学校の校長先生でしたが、退職後は、地元の伝承文化を次代につないでいくことを使命と感じ、博物館施設や学校で地元の方々におかんじゃけ作りの伝承活動をなさっておられるすばらしい方です。

苦労を重ねてなんとか作らせていただいた尾崎作おかんじゃけ

一方、人形作家の亘さんは、出来上がったおかんじゃけを結髪する手順をデモンストレーションしてくださいました。

ご参加の書家たちは、おかんじゃけを筆として、庭のあちらこちらで即興のパフォーマンスを披露して下さいました。

帰宅後、私も自分のおかんじゃけを使って島田に結髪してみました。いかがでしょうか?

ご指導下さいました松本先生、亘先生、会場をご提供下さり、楽しい一日をご一緒して下さいました皆さまにお礼申し上げます。

(学芸員・尾崎織女)

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