日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2016.11.03

文化の日に寄せて・・・

■当館の入り口の山茶花が咲き,兵庫県花のノジギクの白い花も咲き始めて秋の深まりを感じます。

■6号館では恒例の特別展「世界のクリスマス」が始まりました。今回の展示替えも先月24日~30日まで1週間をかけ、「神戸人形と世界のからくり玩具」の撤収と「世界のクリスマス」の展示作業が行われました。いつもながら尾崎学芸員の陣頭指揮で5人のスタッフが連日夜遅くまで作業を続けました。男性は私一人だけに、主な仕事は6号館2階の収蔵庫から資料が詰まった段ボール箱数十個を1階に下ろし、作業が終わると収蔵庫に戻す作業です。膨大な資料を所蔵しているだけに今回も目的のものを探し出すのが大変でした。展示作業は30日夜遅くに完成。 その素晴らしい展示内容に私自身も感動しました。

探し出すのに苦労したオーストリアの降誕人形

■今回の切り口は地域毎の展示です。アジア、南北アメリカ、アフリカ、南欧、北欧、東欧、中欧と並んでいますが、各地域の特色がよく表現されています。これほどの世界各国のクリスマス飾りを所蔵展示する博物館は国内だけでなく、世界でも珍しいと思います。1977年から世界の玩具を収集し、当館で始めてのクリスマス展は1号館で1985年に開催。翌86年を除き、その後は毎年開催してきました。収集も何度もヨーロッパ各地に出かけ、輸入業者の協力や国際見本市などで収集。現在60カ国4000点を数えますが、収集可能なものは3割もなく、時期に恵まれて貴重な資料が収集できたのです。会期は来年の1月22日まで、ぜひご来館ください。

北欧のクリスマス展示コーナー
アフリカ大陸各地のキリスト降誕人形

■去る10月15日付の朝日新聞「私の視点」で、前の文化庁長官青柳正規氏が「文化庁の仕事ー移転よりも地域文化支援を」と題して、文化庁の京都転移には反対だと、問題点を書かれています。文化庁の予算が諸外国に比べて大幅に少なく約1千億円で職員定数は230人。この限られた財源やマンパワーが役所の引越しに使われ、本来の文化施策に影響が出ていることを心配され、地域文化を見つめなおすことの必要性と「文化の総点検」と「再構築」を全国で進めたいと書かれていました。
■私は2013年12月に青柳長官宛てに文化庁が実施する「地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業」について手紙を出しました。内容は募集要綱に「日常的に行うことが予定されている博物館資料を豊富に収集し、保管し、及び展示する等の事業は本事業の補助対象外となる」ことについての要望でした。それまで当館は博物館相当施設に認定されているため文化庁に申請して同事業を何度も受け、ポスターやチラシなどを制作しできました。それが所蔵資料での展示では応募できないと、自前の資料による特別展を開催している私立博物館にとっては大きな痛手であり、所蔵資料による展示でも申請できるよう検討をお願いしました。
■さらに私は元日本博物館協会会長中川志郎氏が「公立館はまず箱物ありきですが、私立博物館はまずコレクションありきで優れたものが多い。民間の優れたコレクションと公立の優れた器とが合体したときに日本の博物館としてはかなり良いものになりうるのではないか」と申されていることから、当館のような豊富な資料を持つ私立館が公立館に資料を貸し出すことで公立館の活性化が図れるのではないか。そのような活動に文化庁の支援が得られないものかと提言もしました。しかし回答はなく、本年度の募集要綱も以前と変わりはありませんでした。

■ここ10数年来、公立・私立を問わず博物館は厳しい状況下にあり、とりわけ「文化遺産を守る」との使命感から設立され、貴重な資料を所蔵する各地の私立博物館が次々と閉館になっている状況は、将来に大きな悔いを残すと思われます。公・私立を問わず、その所蔵する資料や活動内容を第三者機関が公平に検証し、公立館に劣らぬ活動をしている私立館に対しては、国や自治体や社会が支援する必要があるのではないでしょうか。

■尾崎学芸員が<ブログ「学芸室から」8月29日〉で報告していますが、来年1月20日~12月28日まで1年間、神戸市より依頼を受けて当館の資料が神戸開港150周年記念事業として、神戸のKIITOで展示されることになりました。

神戸開港150年記念展・KIITOで展示予定の世界の船のおもちゃ・・展示シミュレーション中の様子

■私は1970年から14年間、神戸の山陽電鉄本社に勤務し広報を担当。多くの神戸の文化人の方と交流があり、神戸の町の気風が大好きでした。それに神戸在住の著名な郷土玩具収集家の遺品を受け入れたことから、神戸ゆかりの玩具や人形の収集にも早くから取り組んできました。神戸人形やクリスマス飾り、それに阪神淡路大震災後に受け入れた雛人形など、神戸ゆかりの数々の資料のほか、世界各地の船・人形や玩具、さらに日本の郷土玩具や近代玩具等の所蔵品も展示します。総数では2000点を超え、大阪や東京でも見ることができない密度の濃い内容に、大きな反響があるものと予想しています。
神戸市の関係者の皆様に感謝し、全力投球で取り組んでいます。(井上重義)

山陽電鉄のPR誌 2000年12月の611号で幕を閉じた。地域文化を育てた小冊子と高い評価を受けていた。私は1971年7月~1984年6月まで132冊の企画と編集を担当した。

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