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blog特別展「雛まつり」が始まりました
■6号館で恒例の春の特別展「雛まつり」が始まりました。膨大な雛人形関係の資料を所蔵する当館では資料の全てを一堂に展示することは不可能であり、毎年切り口を変えて展示しています。
■今年のテーマは「江戸の雛・京阪の雛」です。現在では江戸製の雛とか、京阪製の雛といっても、その違いについて関心がもたれることは少ないのですが、江戸時代からの雛人形を所蔵する当館では早くからその違いに着目し、江戸の雛と京阪(京都製と大阪製)の雛に焦点を当てた特別展ができないものかと考えてきました。それが今回、実現しました。近年、全国各地で雛人形展が開催されるようになりましたが、このような切り口での特別展は例がないと思います。
■展示構成は尾崎学芸員の担当です。今回は6号館の西室では江戸から明治時代の雛人形が江戸型と京阪型とに対比して展示され、東室には明治末期から昭和初期にかけて京都や大阪で作られた御殿飾りと東京の百貨店などで売られた段飾りがずらりと並びました。また「今月のおもちゃ」では尾崎学芸員が古今雛の江戸型と京阪型について説明していますので参考にしてください。
■展示準備は21日の夕刻から始まりました。私の主な仕事は、6号館2階の収蔵室から撤収するクリスマス関係の収納箱を取り出し、撤収作業が終わった資料箱を6号館2階の元の場所に戻す作業です。撤収と展示にかかわる作業は5名のスタッフで行いますが、収蔵室からの資料の搬出と収納は力仕事だけに私の担当です。しかし増え続ける資料で収蔵庫は満杯状態。通路に置かれた資料を運び出すことから始まり、展示資料を膨大な資料の中から選び出す作業が大変です。それだけに目的の資料が見つかった時の喜びは大きいです。作業は順調に進み25日には西室を公開、26日午後には東室も公開することができました。今回も連日夜遅くまで展示作業に頑張ってくれたスタッフに感謝です。ただ私は雛人形の収蔵箱を収蔵庫に戻す大変な作業が残り、完了したのは27日でした。
■展示替え毎に「今回の展示が最高ですね」と言ってスタッフから笑われるのですが、展示は〈一章〉江戸時代のお雛さま、〈二章〉明治時代のお雛さま、〈三章〉雛飾りのいろいろ(御殿飾り・源氏枠飾り・段飾り)と章毎に見やすく展示され、回を重ねるごとに展示内容と手法 は確実に向上しています。
■26日午後から6号館全部をご覧いただける様になったのですが会場に居ると、入館者の中年の男性の方から「この博物館の方ですか」と声がかり「ハイ」と答えると、「私は長年、大阪の藤井寺市の佐藤禎三邸の雛人形展の手伝いをしており、各地の雛人形展を見てきましたがこんな素晴らしい雛展は初めてです」と嬉しいお言葉をいただきました。
■今回の展示では初公開の昭和初期の京雛の雅楽の五人囃や高島屋の雛段飾り、それに数年ぶりの公開である東京松屋の雛段飾りなど、興味津々の雛飾りが並んでいます。
■6号館への小道は椿の花も咲き始め、頭上には甘夏の大きな実がぶら下がっています。早春の一日、雛まつり展でお楽しみください。
(館長・井上重義)
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