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blog2号館常設展示をリニューアル
*この春、2号館の常設展示室と1号館の企画展示室の内容を合体させ、二段階に分けて、新たな常設展示「日本の近代玩具の歩み」へとリニューアルする計画です。
*昭和時代も遠くなりゆく今、明治維新以降の近代化のなかで、私たちがどのような玩具文化を育んできたのか、その一端を、子どもたちの身近にあった商品玩具の流行史を通して振り返っていただける内容にしたいと思っています。そのような展示は特別展として、また他館からの依頼によって各地で開催してきましたが(2007年の長島美術館、2012年の丸亀市立資料館、2018年の三重県総合博物館など)、私たちの常設展として、きちんともっておくべき時期なのではないかと。
*今週は、休館日プラス一日半の時間をいただいて、2号館を展示替えいたしました。1990年代、2号館では「男の子の夢」をテーマにした展示を、2000年代中頃からは昭和時代の流行玩具(昭和20~50年代に流行した商品玩具や駄菓子屋の玩具など)を項目別にご紹介しておりました。今回は、「日本の近代玩具のあゆみ・ Ⅰ ~明治・大正・昭和~」として、明治から昭和30年代まで、時代を彩った玩具資料を年表とともに展示ケースいっぱいに広げています。
*家内工業的に手作りされる地方色豊かな郷土玩具と並行して工場で大量生産される近代玩具が日本中に流通し始める明治時代、玩具は、近代国家を形成する子どもたちを「教育」するための大切な道具であることが求められた時代でもありました。大正時代は、自由主義がもたらすやわらかな時代風潮のなかで「文化」に関心が集まり、都市部を中心に、子どもの情操を育てる玩具が注目されはじめます。続く昭和初期は、欧米社会への憧れから玩具のなかに“ハイカラ”や“モダン”の薫りが満ち溢れますが、そこへ戦争の足音がしのびこんできます。「愛国」という時代精神が子どもの玩具を覆った昭和10年代、そして戦後の復興期・・・。
*2号館の展示では、玩具の諸相を通して、私たちの近代史をふりかえっていただけるよう、時代精神と玩具の関係について興味をもっていただけるよう、そして、昭和時代の玩具については子ども時代をなつかしく思い起こしていただけるよう、当館の「近代玩具コレクション」の精鋭を総出場させました。きっと興味深くご覧いただけるものと思います。
*すでに昨日、2月21日より2号館はオープンしておりますので、「どれどれ・・・?」と遊びにいらして下さいませ。そして現在、1号館では「平成おもちゃ文化史」と題する企画展示を行っておりますが、3月14日よりは、「日本の近代玩具のあゆみ・Ⅱ~昭和・平成~」へと展示替えし、今へとつなげて参ります。どうか、ご期待下さいませ。
(学芸員・尾崎織女)
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