今月のおもちゃ
Toys of this month
2005年9月
「エベ族の人形」
トーゴは、アフリカ西部のギニア湾に面した小国です。この地域に居住する部族は、精霊と対話するため、あるいは健康や多産、家内安全などの願いを込めて、数多くの仮面や彫像を生み出してきました。
写真は、トーゴと西隣のガーナにまたがって居住するエベ族が作る彫像で、高さが20cmほどの大きさです。もともとは双子を表わしており、安産祈願や無病息災のお守りとして使われていました。女性は腰巻に包んでこの人形を身につけ、時にはご飯を食べさせたりして、自分の子どものようにかわいがったといいます。
フランスの植民地支配を受けた時代、ギニア湾岸の部族たちは、西洋からの視点を得たことによって、部族美術の特徴をより強く打ち出した彫像を作るようになりました。これらは「コロン人形(コロニアル時代=植民地時代の特徴をもった人形)」と呼ばれています。ここに紹介する美しい男女一対のエベ族人形も、部族社会の信仰に基づいたものから、土産物として西洋社会でも親しまれるものへと変化を遂げたものと思われます。
1号館で開催する秋の企画展「アフリカのおもちゃと造形」(9/10-11/15)で、展示いたします。