日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2019年7月

「ママ・レンジ」と平成の「クッキング・トーイ」

  • ママ・レンジ(昭和44年)/まるちゃんごはんですよ!(平成初期)/親子のたいやきくん(平成20年代))
  • 日本/ステンレス・プラスチック

 
 夏の特別展「日本と世界のままごと道具」(10月14日まで)では、桃の節句の勝手道具をはじめ、明治期から平成までの日本のままごと道具の移り変わりをご紹介しています。

 まねごとが基本だったままごとの世界に昭和44年、本物のホットケーキが作れる「ママ・レンジ」が登場し、玩具の常識を変える商品としても注目を集めます。ママ・レンジは家庭用電源を使った電熱器式で、ステンレス製の付属のフライパンを用いて直径10cmのホッとケーキを焼くことができます。最高温度は本物のコンロよりも低く設定され、じっくり焼き上げるようになっていますが、フライパンを外すと自動で電源が切れたり、発熱部には直接触れない構造になっていたりと、子どもだけで使うことへの安全性にも配慮されています。昭和30年代以降普及し始めたシステムキッチンのガスコンロを玩具で再現したこともあり、おしゃれな見た目も含めてたちまち子どもたちの憧れの玩具になりました。ママ・レンジに続いて、「ママ・クッキー」「ママ・ケーキ」、ポップコーンが作れる「ママ・ポッピー」など、ママ・シリーズの人気は、実際に調理ができるクッキング・トーイとして定着します。

 平成に入ると、パンやアイスクリーム、たい焼きなど、より本格的なクッキング・トーイが登場します。型抜きや計量カップなどの調理器具が増えるとともに、実際の電子レンジやオーブンを使うことで、調理の完成部分から調理の工程を楽しむことに重点が置かれています。また、材料を混ぜたり生地をこねたり、子どもの力だけでは難しい工程や、料理研究家が監修したレシピ本もついてくるなど、家族で一緒に楽しめるような工夫がされているのも平成のクッキング・トーイの特徴です。 平成のクッキング・トーイは6号館の特別展とともに1号館で開催中の「平成のおもちゃ文化史」でもご紹介しています。