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神戸人形を愛する若い人を迎えて
●●何人もの方々から届いた「神戸人形の古作を観たい!」というリクエストにお応えし、この春、「神戸人形*ミナトマチ神戸が育てたからくり玩具―明治後期から昭和前期―」と題して、2号館の小テーマ展示コーナーに古作品130点を展示しました。



●●展示に先立ち、去る2月には「神戸人形」の成り立ちについて強い興味をもって探究を始めておらる奈良大学の学生さんが、明治・大正期の‟八尾製”と考えられる神戸人形を熟覧したいと来館され、これまでに明らかになっていることについて、また八尾製の特長について、その造形やからくりの仕組みなどを丁寧に聴取していかれました。


●●そして本日は、神戸人形が大好きな高校1年生・S君ファミリーと神戸人形作者のウズモリ屋・守津綾さんをお迎えしました。


●●S君は本当にすごいんですよ! 歴史を彩った神戸人形作品のひとつひとつから、造形とからくりのエッセンスをひき出し、手元にある材料をうまく利用して製作に取り組んでおられます。―——来館される度、自作品を持参して私たちに見せてくださるのですが(※ブログ「学芸室から」2024年3月の記事でも紹介しています)拝見するごと、技もアイディアも段階が進み、それはもう目を見張るほどなのです。本日、見せていただいた作品群には塗装がなされていないものの、からくりの正確さ、楽しさ、再現性の高さには、館長もスタッフもびっくりしてしまいました。ご両親によれば、S君は、日々、仕組みを熟考し、時にはウズモリ屋の守津さんに相談しながら、夢中で製作に取り組んでいるのだとか。


――しかもS君は、ネット検索なども駆使して、神戸人形の資料を世界各地から集め、その歴史についての探究にも余念がありません。あるいは、ひょっとしたら、「今、いちばん詳しい人物かもしれないですね」と、館長や守津さんと話したことでした。古作品を再現したり、修理したり、また、自分自身のアイディアで新たな神戸人形を創作できる人になりたいと少し恥ずかしそうな表情で夢を聴かせてくれるS君の熱意と誠実さがとても嬉しく、神戸人形にこのような若者の存在があることに涙ぐみそうになる一日でした。


●●2024年2月、これからの神戸人形製作を担っていただくはずだったウズモリ屋・吉田太郎さんが54歳の若さで急逝されました(※ブログ「学芸室から」2024年2月の記事で追悼させていただきました)。吉田さんの生前、地元テレビ局が神戸人形をテーマに、吉田さん&守津さんの製作の様子や継承活動にスポットライトを当てて番組を制作されたのですが、その放映を観たことがこの人形に強く興味をもつきっかけになったとS君から伺いました。こうして、縁が紡がれ、つながっていくというのはとても素敵なことですね!
●●2号館の小テーマ展コーナーには、ユーモラスで奇抜な造形をぎっしり詰め込んでおりますので、皆さまもぜひ、会いにいらしてくださいね。
(学芸員・尾崎織女)
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