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春を寿ぐ展覧会オープン!!
◆今日は節分。皆様は“鬼は外、福は内”と唱えながら、豆まきをなさったでしょうか。玩具博物館のランプの家には、今年も「柊鰯(ひいらぎ いわし)」をつけました。焼き鰯を柊の枝に刺したもので、鬼やらいのまじないと伝わります。鬼は柊の葉の棘で目をつかれることを恐れ、また焼き鰯の強い匂いに舌を巻いて逃げ出すのだと明治生まれの祖母たちは言いました。節分を過ぎた後もつけたままにされるため、古い町の軒下に干からびた柊鰯を見かけることがあります。(柊ではなく、兵庫県下には棘のある山椒の枝などが使われている地域もあるようです。)豆まきだけでなく、こうした風習を暮らしにちょっと取り入れてみるのも節分行事を紐解く窓口として楽しいのではないかと思います。
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たばこと塩の博物館「ちりめん細工の今昔展」オープン!
◆<ブログ「館長室から」2018年1月25日>にありますように、たばこと塩の博物館と日本玩具博物館の共催展「ちりめん細工の今昔」が1月23日――寒波到来で東京が20㎝を超える積雪に見舞われた日の翌日――に無事、オープンいたしました。19日より、館長以下、井上伊都子に新人の原田悠里を加え、4人で会場入りし、たばこと塩博の学芸スタッフの方々と綿密に打ち合わせをしながら、展示作業やミュージアムショップ販売準備などを終えました。
◆展示は二部構成。第一部が「江戸と明治・大正時代のちりめん細工」、第二部が「平成時代のちりめん細工~再現と広がり~」です。11年ぶりのたばこと塩博でのちりめん細工展――展示総数は1,030点に及びます。
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◆11年前にもご一緒した同館の湯浅淑子学芸員と、展示資料を肴に歳月の積み重なりを語り合いながら、内容の濃い5日間を過ごさせていただきました。同館や個人、そして玩具博物館が所蔵する江戸から明治時代にかけての浮世絵を持ち寄り、いくつかのお細工物作品と対比展示ができたこと、私としては非常にうれしく思っています。オープンからすでに10日を過ぎましたが、寒波到来の厳しい寒さのなかでも、多くの方々が足を運んで下さっている模様です。
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◆展覧会期は、桃の節句を過ぎ、桜が満開を過ぎる春爛漫の4月8日まで(毎週月曜休館)を予定しています。今昔の女性たちの繊細な感性とともに、日本の春夏秋冬の風情と、また伝承されてきた祈りの造形を親しく受け止めていただけたらと思います。会期中にぜひ、お訪ね下さいませ。
日本玩具博物館の「雛まつり」展もオープン!
■無事に上記の展示オープンを見届けて帰館したあとは慌ただしく、スタッフ揃って6号館の展示替え作業に入りました。丁寧に細やかに、けれどタッタタッタと大急ぎでクリスマス・オーナメントを梱包し、パッキングして収蔵。そのあと、展示ケース内をキュッキュキュッキュと清掃し、緋毛氈を広げて展示台を組み、また丁寧に細やかに、けれどタッタタッタと大急ぎで雛人形や雛道具を展示していきます。展示作業は雛人形の小さなささやき声が聞こえる深夜まで―――。
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■6日間かけて今年の雛まつり展が華やかに完成いたしました。昨年、寄贈を受けた瀬戸内地方の“見栄っ張り雛”や奈良彫の小さな段飾り雛など、新収蔵の資料も登場して、また新鮮な春の展示室が出来上がっています。
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■展示をひとつ作り上げるまでにはコンセプト決定から始まり、展示構成を考え、全体のデザインを決め、出品資料を設定し、パネルやキャプション、文字資料や映像資料の作成、広報、関連催事の企画、ミュージアムショップとの連動―――など、緻密な作業を積み重ねていかなければなりません。果たしてすべてをうまく遣り果せ、皆さんに喜んでいただける内容を作り上げることができるだろうか…と昨年末から妙な動悸が収まらない日々が続いていましたが、今、やっとほっと胸を撫で下ろしているところです。
■春を寿ぐ二つの展覧会―――力不足で資料を十分に生かせる展示にはなっていないかもしれませんが、隅々まで心を込めてつくっておりますので、願わくば、暖かいまなざしでご覧いただき、あちらこちらで作品たちがよい出会いを果たさんことを。
(学芸員・尾崎織女)
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