展示・イベント案内
exhibition日本玩具博物館*開館50周年記念* 動画 デジタルコレクション「動きや音が楽しい郷土玩具」
- 会期
- 2024年8月10日(土)
- 会場
- 日本玩具博物館ホームページ WEB企画
■当館は、2022年度より2年にわたり、文化庁のInnovate MUSEUM事業の採択を受け、この事業の眼目のひとつである博物館資料のデジタルアーカイブ化に取り組んできました。現在、内部資料として8,000余件の登録が済んでいますが、現在もコレクショングループごとにアーカイブ化を進めており、登録を済ませたデジタルコレクションの中からテーマごとに数件ずつを選んで、順次、公開していきたいと思っています。
■郷土玩具のなかには、竹片のしなる性質や和紙の靭性(繊維が長いため、しなやかで破れにくい)を巧みに利用し、重力や風力といった自然の力を用いて楽しく動く仕掛け玩具がたくさん見られます。これらは近世の終わり、江戸時代後期に花開いた都市部の手遊び文化を引き継ぐものです。
■江戸時代に刊行された『絵本菊重ね』(享保年間ころ・1716~36年)や『江都二色』(北尾重政/安永2・1773年)、『骨董集』(山東京伝/文化12年)、『還魂紙料』(柳亭種彦/文政9・1826年)、『守貞謾稿』(喜田川守貞/天保8・1837年起稿)などの文献、また錦絵(浮世絵)にも、木や竹、和紙、土、木綿布、糸、土(粘土)など身近な素材の性質を生かした仕掛け玩具が数多く記されています。「木登り猿」「芋虫ころころ」「与(弥)次郎兵衛」「山猫(米喰いねずみ)」「隠れ屏風」「鰹節削り箱(猫とねずみ)」「板相撲」「御来迎」「浮き人形」「ピンピン鯛」「弾き猿」など、大都市部(江戸や大阪、京都など)の庶民が愛した素朴な手遊び玩具は、参勤交代や旅(伊勢参りなど)による人々の移動と交流を通して地方の町々に影響を与え、日本各地の郷土玩具のなかにその姿を留めることとなったと考えられます。
■そのような郷土玩具のなかから、『江都二色』に記された「猩々のからくり」や「御来迎」、錦絵にも描かれた「弾き猿」(三重県松阪などの郷土玩具として伝わっています) や「ピンピン鯛(大阪府堺の郷土玩具として伝わっています)、祭礼の山車からくりに影響を受けた愛知県名古屋の「牛若・弁慶」など、合計11件を選び、玩具の楽しい動きを撮影しました。
■このような素朴な玩具の良いところは、遊び手が楽しみながら玩具の仕掛けを理解でき、作り手の知恵と工夫を追体験できることにあります。郷土玩具の奇知に富んだ動きや音を通して、近世の人々のユーモアと子どもへの愛情に触れていただければ幸いです。夏休みの工作や自由研究のヒントにしていただければと願い、この時期に公開させていただきます。
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