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学芸室から 2020.12.15

手作りのクリスマスオーナメント*その4―麦わら細工のモビール

「世界のクリスマス展」会場に入ると、しばし天井を見あげて「きれいやね…」とつぶやかれる来館者の声が聞こえます。天井を厳かな光ととも揺れ動くいくつもモビール―――バルト海沿岸諸国に伝わる麦わら細工です。

「世界のクリスマス展」2020会場の天井に揺れる麦わら細工のモビール

フィンランドの「ヒンメリHimmeli」は有名になりましたが、リトアニアでは「ソダスSodas」、ラトビアでは「プズリスPuzuris」と呼ばれて、今も人々に親しまれています。

幾何学的立体の組み合わせ方が非常にモダンで、近年に始まったフォークアートのようにも思えますが、かつて<ブログ「学芸室から」2008年12月10日>でご紹介しましたように、フィンランドの「ヒンメリ」をはじめ、いずれも中世からの伝統をもち、軽やかながらに風格に満ちあふれた室内装飾です。
フィンランドでは、ヨウル (=クリスマス)を待つ季節、家族みんなで麦わらを切り、針に糸を通して大小の幾何学的な形をつなぐと、それらを組み合わせて、ひとつの壮麗な作品を仕上げていきます。「ヒンメリ」という言葉は、美しく心惹かれる響きをもっていますが、これはスウェーデン語の「ヒンメル~Himmel=空」に由来するといいます。ゆらゆら揺れる麦わらのモビールには、天空からもたらされる風の精霊が宿り、飾られる空間を清らかな空気で満たすものとされています。

リトアニアには「ソダス」(庭を意味する言葉)と呼ばれるモビールが伝わります。幾何学的な造形と哲学的な世界観はフィンランドのヒンメリとよく似ていますが、ソダスには天使や鳥や星などの具象的な造形がプラスされ、温かな雰囲気をもっています。新婚家庭の幸せを願って贈られたり、今ではクリスマスやイースターをはじめ、宗教的な祝日にも登場するオーナメントです。
一方、ラトビアの「プズリス」も、クリスマスや季節の祭礼の折に室内に飾られるオーナメント。穏やかで平和な暮らしを守り、飾った空間に特別な霊力を与えるものと考えられているようです。

とても複雑そうに見えますが、基本の正八面体の作り方を習得すれば、一辺の長さを変えるだけで、様々な大きさの正八面体が作れますし、それらを組み合わせて、素敵なモビールができます。作り方をご紹介いたします。


<麦わら細工のモビールを作りましょう>

材料………麦わら20本ほど・木綿糸・毛糸など
道具………ハサミ・長い針(入手できないときは細いワイヤ―など)・定規

作り方
❶麦わらを同じ長さに切り揃えて、12本準備します。
❷長い針(入手できないときは手芸用のワイヤーを二つ折りにして)に木綿糸を通します。

❸まずは4本の麦わらに、木綿糸をセットした長針(代用のワイヤー)を通して正方形に整え、通し口で一度、木綿糸を結びとめます。

❹正方形の一辺を底辺として三角形を作ります。木綿糸を向かい側に通して、向かい合う辺を底辺として、もう一つ、三角形を作ります。

❺両方の三角形の頂点を持ち上げて結び合わせます。

❻さらに、正方形の一辺を底辺として三角形を作ります。木綿糸を向かい側に通して、向かい合う辺を底辺として、もう一つ、三角形を作ります。

❼⑤で結び合わせたのと反対側に両方の三角形の頂点を持ち上げて結び合わせます。

❽麦わらの一辺の長さを変えれば、大小の正八面体ができますので、たくさん作って、つなぎ合わせてみてください。

麦わらは割れやすいので糸を通すときには慎重に扱っていただき、ひとつひとつの作業を丁寧に繰り返すと、綺麗な立体が出来上がると思います。
下の画像は、<ブログ「学芸室から」2021年11月26日>でご紹介した木の実の妖精を組み合わせたものと、大小の正八面体をつなぎ合わせたものです。

ご家族やご友人とお楽しみください。(尾崎織女)

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